「ポリエチレン(Polyethylene)」とは、原油を蒸留して得られる「ナフサ(Naphtha)」を熱分解することで取り出される「エチレン(Ethylene)」のポリマー、つまり分子をさらに多数結合させたもの。ポリバケツやスーパーの買い物袋など、日本ではプラスティック製品の20%以上がこのポリエチレンによって占められています。
ポリエチレンには熱可塑性という特徴があります。これは加熱することによって融けるという性質で、熱を加えて液状化したポリエチレンを金型へ流し込んで成型することで、様々な形の製品を作ることが出来るのです。FRPのカヌーとの大きな違いは、殆ど自動的に一体成型を行うため、金型の他にも加熱・冷却などを行う巨大な設備が必要ですが、大量生産する場合は製品単価が大幅に削減可能となります。
また、同じポリエチレンでも分子構造によって特性が変化します。カヌーにはリニア・ポリエチレン(直鎖状)やクロスリンク・ポリエチレン(架橋状))と呼ばれる強度に優れた素材が用いられるのです。これらのポリエチレンに、野外や海上での使用に耐えられるよう、紫外線吸収剤や耐候剤といった添加物を混合して用いることで、他の素材とは比較にならない強度、耐久性をもつカヌーが出来上がります。
Da Iki開発チームでは、様々な使用条件や製品コンセプトを元に検討を重ねた結果、強度が高く原料の調達コストが安いリニア・ハイデンシティ・ポリエチレン(LHDPE、直鎖状高密度ポリエチレン)に、オーダーメイドの耐候処方を施した素材の採用を決定しました。